NACSIS-CAT/ILLは今後どうなっていくんだろう?

2015.08.26 Wednesday

先日、大学図書館問題研究会 第46回全国大会(札幌)に参加してきました。
私が参加した分科会の一つがこれです。
第4分科会 情報組織化
テーマ: 「これから」のNACSIS-CAT/ILLと学術情報流通
http://www.daitoken.com/research/annual_conference/2015/section.html#s4

NACSIS-CAT/ILLは大学図書館の業務を考える上では切り離せない存在ですが、未だにきちんと理解できていません。
ですが、それは置いといてNACSIS-CAT/ILLについて感じてきたことなどを書いてみたいと思います。


私はNACSIS-CAT/ILLのシステムを使うというのは3つのステップとして理解しています。
1.書誌を作成する。(NACSIS-CATを使って共同分担で目録を作成する。)
2.所蔵を登録する。(各図書館の所蔵している資料を明確にする。OPACの様な役割)
3.相互貸借する。(所蔵情報を基に、NACSIS-ILLを使って貸借する。)

まずは1.書誌を作成する話。NACSIS-CATの素敵な所は、何と言ってもみんなで書誌を作ってシェアしあいましょうという所だと思います。
各図書館が個々に作成することに比べたら、本当に効率的な仕組みだと思います。
書誌調整もしっかりしており、きちんと規則に基づいたデータが整備されているのもいいです。
ただ規則や、書誌構造を理解するのが大変で、不慣れな担当者には辛いところです。
分かりにくい図書館用語など話題になることはあるが、「典拠コントロール」「バランスしない書誌」など理解に苦労する用語が多いと感じていました。
共同分担のはずなのに書誌作成をしていない図書館はいっぱいあるけれど、決してフリーライドしようと思っているわけではなく、難しくて手が出せないという点が多々あると思っています。
不完全なデータで書誌登録したりすると、他館から指摘が入るし、誤って登録したレコードの削除の仕方も分からなくてあせるし周りに迷惑かけるだけだからやめておこうという気持ちはよくわかります。
NACSIS-CATに書誌がない場合は、目録作成センターに資料を送りましょうみたいなフローがあると、不慣れな方も協力しやすいのかなと思います。

NACSIS-CATの仕組みは素敵ですが、近年NDLも書誌情報の提供サービスを始めたし、民間企業の作成するMARCもあるので、業界全体で考えるともっと効率化の余地はあるのかなと思います。
またNACSIS-CATのデータを使いつつも、各図書館が使っているシステムデータには目次情報や検索用のキーワードを付与している様なので、この辺りも共有できていくともっと便利だなと思います。
すでに日外アソシエーツのBOOKデータASPサービスといったプラスαのデータを提供している民間サービスがあるので調整は必要だと思いますが。


続いて所蔵を登録する話。
所蔵登録することで互いにどの資料を持っているか把握することができる様になるのですが、今やほとんどの大学図書館はOPAC公開しているので二度手間だなという感じはしています。
カーリルのように各図書館のOPACを横断検索すれば、所蔵情報の確認は事足りてしまうのではないかという気もします。
まぁ現状のOPACの応答速度なんかを考えると、全国の大学図書館OPACの横断検索の仕組みを作っても業務にまともに使えるシステムにはならなそうですが。


最後に相互貸借する話。二度手間だと思いつつも所蔵登録をしておくとことで、互いに相互貸借することができます。
FAXなり電話なりでもILL業務はできますが、NACSIS-ILLのシステムを通すことで依頼/受付の件数の把握とか、料金相殺ができるとかメリットは大きいです。
ただ図書館の貸出と言えばバーコードでピッピッとする簡単イメージなのに、NACSIS-ILLで図書館同士の貸借となると全然直感的でない状態遷移図に沿って進めなきゃいけないのには一苦労です。
CATの難しさは情報管理の上で必要なことと理解できるが、ILLシステムの分かりづらさはいまひとつ許容できないでいます。

一般的なILLシステムの操作の流れとして書誌を検索→所蔵館の確認→貸出依頼という流れだと思います。
実際のところNACSIS-CATに書誌がなかろうが、所蔵登録してない館だろうかNACSIS-ILLのシステムを通じて依頼がだせるので、CATとILLは密接に見えて切り離しができるのかなと思うこともあります。
制約が少ない方が、システム設計は柔軟にできますし。書誌所蔵の縛りがなくなると、例えば専門図書館との連携と言った方向性も考えられるかもしれません。


とくに、まとめらしい事もないのですが、やはり今後どうなっていくのか気になります。
多くの図書館が恩恵を受けられる仕組みであって欲しいですし、何よりその先の利用者に恩恵が波及していく仕組みになってほしいですね。
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